研究課題/領域番号 |
17K14401
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今田 晋亮 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (40547965)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 太陽周期活動 / 太陽地球環境変動 / 太陽表面地場 / 太陽風 |
研究実績の概要 |
太陽活動は約11年の周期で変動することが知られている。この変動は太陽表面の磁場が11年で変動することに由来している。この周期活動を予測することは宇宙天気研究において非常に重要であり、これまで次期太陽周期活動を予測するモデル計算コードの開発及び実装、そして計算に必要なパラメターの観測精度の向上を行ってきた。これまで開発してきた次期太陽周期活動予測モデルを用いて、大量の磁場の時間発展を計算することが本研究課題において重要であるが、その際表面の速度場、地場の拡散係数など、いくつかの必要なパラメターがある。本年度、は特にこのモデル計算に必要なパラメターである速度場について、衛星観測を用いて算出することを行った。結果、磁場の強い領域での子午面方向の流れは、磁場の弱い領域に比べて遅いことがわかった。この結果はすでに論文としてImada & Fujiyama (2018), The Astrophysical Journal Letters, 864, L5にまとめられている。また、現在得られた磁場を用いて太陽風を予測する方法(Potential Field Source Suface(PFSS)外挿法)を用いて太陽地球環境(主に太陽風)の長期変動を行なっているところである。また、今後長期的に太陽地球環境をどの様に観測して行く必要があるかを、次世代太陽観測衛星計画という視点から議論し、宇宙研への提案などの検討も本研究から得られた知見から行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで開発してきた次期太陽周期活動予測モデルを用いて太陽表面磁場の時間発展計算を、太陽表面速度場を新たな方法で導出することに取り組んだ。これにより表面磁場の予測精度が高まったと言える。次年度以降にこの新たに得た表面速度場を用いて、磁場のデータをさらに計算しそれを用いて、コロナより外側まで外挿し、太陽風の長期変動を確率的に議論する。宇宙計画(観測衛星の開発、国際宇宙ステーション開発など)の大半は開発に10年程度の長い年月を必要とすることから、10年程度先の太陽地球環境を知ることは非常に重要であり、本研究によって切り開かれる長いタイムスケールでの宇宙天気予測研究は新しい宇宙天気研究の窓を開けるとともに、宇宙開発にとって非常に重要な情報を与える。
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今後の研究の推進方策 |
10年程度先の太陽風がどのようなものになるか確率論的に議論することで、太陽地球環境の長期変動に関する予測研究をおこなう。現在の太陽全球磁場データを初期値に、今後10年の黒点を確率的に与え大量の太陽表面磁束輸送計算をおこない太陽風モデルを適応することで、太陽地球環境の長期変動を考察する。そのため、我々が開発した次期太陽活動周期予測モデル結果に太陽風モデルを適応することが必要である。残る作業としては表面磁束輸送計算結果(太陽全球磁場をインプット)にポテンシャル磁場外挿法(惑星間空間の磁場をアウトプット)を適応することである。ポテンシャル磁場外挿法の計算コードは公開されているものもあり、既存のものを用いる。このデータのインプット・アウトプットの部分のみであり、それ以外はすでに完成している。最後にこれらから得られた結果を用いて、太陽風の太陽サイクル25の長期変動を確立的に議論し、加えて磁気圏の変動がどのようになるかも議論していく。
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