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2017 年度 実施状況報告書

多次元空間におけるイオンサイクロトロン波動粒子相互作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K14402
研究機関名古屋大学

研究代表者

小路 真史  名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (80722082)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード非線形波動粒子相互作用 / ジオスペース
研究実績の概要

ジオスペースにおいてプラズマ環境に大きな影響をもたらす電磁イオンサイクロトロン波の非線形相互作用を衛星データから直接計測する手法を、シミュレーションデータを元に開発した。粒子の3次元分布関数の情報と、波動の電磁場データから、位相角を計算し、その角度に対して粒子分布をソートすることによりプロトンホールの存在を示す。さらに、波動電磁場ベクトルと粒子速度ベクトルの内積から、2種の共鳴電流に対応する量を計算し、波動のスペクトルと振幅成長の様子を比較することで、理論的なシナリオの検証を行う。本手法を実際の衛星データに適用し、THEMIS衛星のデータから非線形相互作用の実証を試みた。そのデータからプロトンホールに対応するイオンの位相角分布の歪み、エネルギー授受を示す電場とイオン速度の内積、及び周波数変化を示す磁場とイオン速度の内積を波動励起イベント中の短い時間内で得ることが可能となった。2つの共鳴電流に対応する量が、理論的に示唆されている方向に振れていることがわかり、直接的にエネルギーの流れや理論的に示唆されている共鳴電流の寄与によって、振幅の増大や周波数が上昇していることを明らかにした。この手法は、あらせ衛星での適応が検討されており、種々のEMIC波動に対する統計的な解析が期待できる。また今後、多次元的なエネルギーの授受を衛星データおよびシミュレーション解析から明らかにするために、本解析手法が重要となる。本成果はGeophysical Research Lettersに掲載済みである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

波動粒子相互作用に関する解析が順調に進んでいること、および多次元シミュレーションに向けたコードの開発が進んでいることから、該当する区分とした。

今後の研究の推進方策

多次元シミュレーションコードを完成させ、すでに衛星データ解析で見られている斜め方向伝搬波動の特性を解析する。多次元モデルにおいて、1 次元モデルとの最大の違いは斜め方向に伝搬するEMIC 波を同時に扱えることである。1 次元モデルよりも多数のモードが励起されるため、イオンの温度異方性がどのEMIC モードに対して効率よくエネルギーを渡し、緩和されていくかを2 次元空間内で調べる。また、斜め方向に励起されるEMIC 波動は平行伝搬波動の非線形サイクロトロン共鳴に加えて、平行方向電場によるランダウ共鳴が可能である。これらの両非線形現象が起こす高エネルギーイオンの分布関数への影響を明らかにする。特にランダウ共鳴及び粒子捕捉は、イオン空間分布を沿磁力線方向に歪めるため、サイクロトロン粒子捕捉に対しても影響を及ぼす。従って、EMIC 波が平行伝搬時とは異なる非線形成長を起こす可能性があるため、伝搬方向毎のEMIC 波の非線形成長の違いを調べる。

次年度使用額が生じた理由

当初計画していた出張予定がずれたため、次年度使用額が生じた。今年度、該当する研究打ち合わせのために京都大学の大村教授を訪問する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Ion hole formation and nonlinear generation of electromagnetic ion cyclotron waves: THEMIS observations2017

    • 著者名/発表者名
      Shoji Masafumi、Miyoshi Yoshizumi、Katoh Yuto、Keika Kunihiro、Angelopoulos Vassilis、Kasahara Satoshi、Asamura Kazushi、Nakamura Satoko、Omura Yoshiharu
    • 雑誌名

      Geophysical Research Letters

      巻: 44 ページ: 8730~8738

    • DOI

      10.1002/2017GL074254

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Nonlinear Generation Mechanism of EMIC Falling Tone Emissions2017

    • 著者名/発表者名
      Shoji Masafumi、Omura Yoshiharu
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Space Physics

      巻: 122 ページ: 9924~9933

    • DOI

      10.1002/2017JA023883

    • 査読あり
  • [学会発表] Instantaneous Frequency Analysis on Nonlinear EMIC Emissions: Arase Observation2017

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Shoji, Yoshizumi Miyoshi, Yoshiharu Omura, Yasumasa Kasaba, Keigo Ishisaka, Shoya Matsuda, Yoshiya Kasahara, Satoshi Yagitani, Ayako Matsuoka, Mariko Teramoto, Takeshi Takashima, and Iku Shinohara
    • 学会等名
      AGU fall meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Instantaneous Frequency Analysis on Nonlinear EMIC Emissions: Arase Observation2017

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Shoji, Yoshizumi Miyoshi, Yoshiharu Omura, Yasumasa Kasaba, Keigo Ishisaka, Shoya Matsuda, Yoshiya Kasahara, Satoshi Yagitani, Ayako Matsuoka, Mariko Teramoto, Takeshi Takashima, and Iku Shinohara
    • 学会等名
      SGEPSS fall meeting
  • [学会発表] Nonlinear generation mechanism of EMIC falling tone emissions2017

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Shoji and Yoshiharu Omura
    • 学会等名
      URSI GASS
    • 国際学会
  • [学会発表] Nonlinear generation mechanism of EMIC falling tone emissions2017

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Shoji and Yoshiharu Omura
    • 学会等名
      JpGU
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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