研究課題
リアルスケール・ハイブリッドシミュレーションにより、Shoji and Omura [2013]などで示されているように、実際の衛星観測と比較可能なEMIC ライジングトーン放射が再現れている。さらに、Shoji and Omura [2017]ではEMIC フォーリングトーン放射が、他のバンドのEMIC 波による低エネルギーイオン加熱の影響により空間的に歪められた特殊な環境で、励起する様子が再現されている。また、内部磁気圏においてあらせ衛星が同様のEMIC ライジングトーン・フォーリングトーン放射の観測に成功している[Shoji et al., 2018]。これらの周波数変動を伴うEMIC波動が非線形波動粒子相互作用によって励起する様子をシミュレーション・観測の両面から解析を行う。あらせ衛星が観測した電磁場データを用いて波動粒子相関解析(WPIA)を行った。イオン三次元分布関数及び電磁場ベクトルデータを用いてその位相差を求め、非線形共鳴電流に対応する量の計算を行った。結果、あらせ衛星で観測されたライジングトーン放射・フォーリングトーン放射の励起過程における共鳴電流の特徴が、同エネルギー帯のプロトン粒子と異なる周波数の波の間で見られた。さらに、粒子の位相空間での分布の時間変化を捉え、理論的に示唆される様な共鳴電流の形成に関連する粒子分布の変化を見つけることができた。また、フォーリングトーン放射を再現したシミュレーションおよび、フォーリングトーン放射があらせ衛星で観測されたイベントにおいて、イオンが垂直方向に加熱される様子が見つかった。また、加熱される方向が、観測と一致していることを示し、さらに重イオンの方が選択的に効率よく加熱されていることを示した。
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