研究課題/領域番号 |
17K14408
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
杉崎 彩子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (20595128)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ルミネッセンス年代測定 / 含水率 / 石英微粒子 |
研究実績の概要 |
ポリミネラル微粒子と比較するため,今年度は測定済みの石英微粒子のテスト測定に重きを置いた.SAR法を用いた蓄積線量の推定において,シルトサイズの粒子は実際の被爆量よりも高い放射線応答曲線を示す例が報告されており,日本海の試料を用い,実際の被曝量と,人工的に線量を与えた場合の放射線応答曲線飽和点が異なるかの検証を行った.デンマーク工科大学のガンマセルを用いガンマ線を試料に照射し,TL/OSLルミネッセンス測定装置を用いルミネッセンスの測定を行った.その結果,大和堆の試料は300Gy以降飽和し,それに対して,日本海盆の試料は500Gy以降飽和する傾向を示した.この様な異なる結果が得られたのにはそれぞれの石英微粒子の起源によるものか,今後検討が必要となる. 線量率の推定は,実際の含水率を用いて求めた線量率より,含水率を一定として求めた線量率を使用した場合の方が,他の年代モデルと整合性があることが分かった.このことから,測定された含水率の変動は信頼に足る値なのか検証する必要が出てきた.含水率の評価を行うため,船上で試料採取直後に測定した堆積物湿潤密度と,サンプリング後に測定した含水率を比較してみた結果,非常に良い相関が得られた.このことは,試料採取直後と数ヶ月後に行った個々の試料採取後の試料の含水率の傾向が変化していないことを示唆する. pIRIR法の測定条件を決めるテスト測定を表層堆積物,最終間氷期,コア最下部の試料を対象に行い,pIRIR230が適していることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ポリミネラル微粒子の信頼性を検証する際,同じ試料での石英の評価が必要となるため,石英微粒子のテスト測定を今年度は優先したため.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,大和堆,日本海盆の試料のポリミネラル微粒子を対象に,石英微粒子と同様,実際の被曝量と,人工的に線量を与えた場合の放射線応答曲線飽和点が異なるかの検証を行う. 含水率の検証に関しては,岩相の異なる試料の帯磁率異方性を測定し,含水率の変動と堆積物の圧密の関係性があるかを調べ,関係性があれば検量線を用い補正し正確な線量率を見積もる. また,昨年度のテストの結果,ポリミネラル微粒子の蓄積線量の測定は,pIRIR230法で行うことが石英と比較し最も整合的であることが分かった.そこでpIRIR230法を用い測定対象試料が既知の線量を正確に測れるか検証した上で,低解像度で飽和値までの測定を試み,年代への換算を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
出張先での滞在日数が,乗船日程と重なり減少したため.
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