研究課題/領域番号 |
17K14412
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中川 麻悠子 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (20647664)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 硫黄同位体 / 炭素同位体 / 微生物 / 培養実験 / 環境試料 |
研究実績の概要 |
本年度は硫酸還元菌と硫黄不均化菌による硫黄同位体分別の特徴づけに関する実験とモデル構築に取り組んだ。硫酸還元菌について、約25‰の大きい分別を持つと報告されているAPS還元酵素反応過程に注目した酵素実験を行い、環境中の電子供与体となる有機物種によって菌体内の代謝物が分別へどのように影響しているか明らかにした。反応に関わる代謝物濃度を含んだ同位体分別モデル計算を行い、菌体内で生成されるAMP, ATP濃度が影響していることを示した。 また、昨年度まで行なっていた硫黄不均化菌の培養実験結果について、硫酸還元菌とは異なる質量依存分別係数を示す傾向を分岐過程の四種硫黄同位体分別計算で再現した。そして、これまで報告された環境試料及び純粋培養実験による同位体分別報告値も分岐モデルで示される範囲内であった。 硫黄代謝過程(硫黄酸化、硫黄不均化、硫黄還元、硫酸還元)の分別係数を用いて、各過程の寄与が変化することが硫黄循環における四種硫黄同位体的特徴がどうなるか議論を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析機器の故障がたび重なり、必要なデータを測定することができなかったため、翌年度に分析を終えるように延長することとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は本研究課題の目的を達成するため、残った純粋培養実験試料及び環境試料の分析を行い、硫黄循環モデル計算に適用する。炭素及び硫黄同位体比のデータセットをまとめ、公開できる形にする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度4月及び11月に所属変更があり、引越しや実験環境の立ち上げに時間を要した。また、2018年11月から着任した際、実験室管理業務が増え、半年ほど管理システム立ち上げに時間を割く必要があった。さらに、2019年度に装置の故障が相次ぎ、その対応に計約三ヶ月を要した。装置復帰後測定を急いで行なっているが、年度内に終了させることは難しく、論文作成も含めて2020年度に引き続き行う必要がある。 来年度は分析を完了するために必要な消耗品、技術支援員への給与として使用する計画である。
|