研究課題/領域番号 |
17K14413
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西田 梢 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 特別研究員 (10708374)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 安定同位体比 / 質量分析計 / 貝類 / 炭酸塩 / クランプトアイソトープ / 炭酸凝集温度計 / 古環境復元 |
研究実績の概要 |
本研究は、絶対水温計として注目されているΔ47炭酸凝集同位体比分析について、様々な炭酸塩試料で活用可能な同位体比分析手法の検討と応用研究の進展を目的とする。本研究課題は萌芽的同位体分析技術の汎用化を目指した基礎研究であり、Δ47同位体比分析システムの実用化により、絶対水温という新たな古環境指標の活用が可能になる。Δ47同位体比分析を生物源炭酸塩や地質試料へ応用し、古環境学・地質学・古生物学・生態学など幅広い研究分野への貢献を目指す。 本年度は以下の成果が得られた。 炭酸塩前処理装置で、生物源炭酸塩(貝類・サンゴ・鳥類の卵)や大理石試料、標準試料の二酸化炭素ガス精製を行い、同位体質量分析計Isoprime100によるΔ47分析を実施し、分析値の安定性評価、バックグラウンド補正や国際標準試料(ETH1-4, NBS19)による同位体補正方法の検討を行った。また、スイス工科大学チューリッヒ校との共同研究を開始し、不純ガス捕集方法や、同位体補正計算方法について情報交換を行った。さらに、茨城高専で用いているラボスタンダード試料の分析をスイス工科大学チューリッヒ校にて行い、ラボ間での分析値の比較を実施した。最終年度は、分析システムや手順を確立し、炭酸凝集同位体分析システムの確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、炭酸凝集同位体の分析技術開発で国際的に中心的な役割をされているスイス工科大学チューリッヒ校ステファノ・ベルナスコーニ教授と共同研究を開始することが出来、分析作業の見学や標準化など、最新の情報を得て、本研究の分析システムのさらなる改良に取り組むことが出来た。進捗状況としては順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、(1)前処理装置への加熱/冷却部を備えた不純ガスのトラップシステムの設置、(2) 質量分析計のキャピラリー部の比較検討、(3)Isoprime質量分析計を用いた同位体分析値の標準化手法の確立、を目指して開発を行い、古生物試料をはじめとする生物源炭酸塩試料の分析に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は平成30年度 学術振興会 若手研究者交流事業(スイス枠)にて1月よりスイスへ派遣のため、次年度へ使用額の繰り越しを行った。令和1年度は、ガス精製装置の改良やフィールドワーク、研究成果の学会発表などに支出を予定している。
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