研究課題
若手研究(B)
本研究では糖とアミノ酸のキラリティーに着目し、アミノ酸やペプチド、単糖や糖鎖が水素結合した低温孤立状態の気相クラスターを星間分子雲のモデルとして、分子認識と化学反応の関係を検討した。鏡像異性体選択的な反応性が観測され、気相クラスターを模擬星間分子雲とする実験的研究は、分子雲におけるキラル認識と化学進化の関係を分子レベルで検討する方法として有効であることを示した。この実験結果を基に、溶液中の鏡像異性体と立体異性体に対する定量分析法を開発した。
物理化学
本研究での化学進化に関わるキラル認識と化学反応は、遷移金属を使わない不斉化学反応である。本研究は、有機化学分野で近年急速に開発が進められている有機分子触媒の基礎的知見となり、グリーンケミストリーを発展させる研究成果となる。質量分析感度で鏡像異性体を識別する本計測法と、化学進化の歴史に関する本研究成果は、分子の個性を活かした高感度定量分析法を開拓する基盤となる。