研究実績の概要 |
1. BX3/塩基によるアルケンのボリル化:BBr3と2,6-ジクロロピリジンまたは2,6-ルチジンの組み合わせにより種々の末端アルケンをボリル化する手法を開発した.ジアリールアルケンでは前者の組み合わせが,その他のアルケンでは後者の組み合わせが適していた.反応機構考察実験により,本反応は,前者ではBBr3を,後者ではBBr3と2,6-ルチジンから生じるボレニウムカチオンを活性種とする求電子置換反応で進行することがわかった. 2. アルミニウムアート錯体を経るアルケンの官能基化:まず,ハロゲン化シランによるアルケンのシリル化に取り組んだが,逆反応であるプロトデシリレーションが抑制できず,ほとんど目的物が得られなかった.また,2,6-ジ-tert-ブチルピリジンの添加効果も得られなかった.また,クロロギ酸エステルによるアルケンのエステル化に取り組んだが,3-フェニルインデン以外の基質では目的の反応が効率的に進行せず,基質適用性が極めて狭いことがわかった.一方,酸クロリドによるアルケンのアシル化において,AlCl3/2,6-ジブロモピリジンの組み合わせによりアルケンを高収率でアシル化できることを見出した. 3. カルボキシル化における官能基共存性の獲得:Lewis酸を用いるCO2によるカルボキシル化では,ヘテロ官能基の共存がインドールなどヘテロ芳香族化合物に限られていた.そこで,酸素官能基を有するアルケンのカルボキシル化に取り組み,Me2AlCl/2,6-ジヨードピリジンによりアリールビニルエーテルを中程度の収率でカルボキシル化することに成功した.
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