研究実績の概要 |
1年目は、本研究課題に関連して、2報の論文を発表した。これらは生体型ピロールを組み込んだオリゴピロールを利用して2種類のペンタフィリン類の合成を行い、興味深い物性を発現させることに成功したものである。まず、生体型ピロールからなるジピロールエタンとトリピランの酸縮合を利用することで、ジヒドロペンタフィリン(2.1.1.1.1)の合成に成功した。この化合物を酸化することで、24π反芳香族性を示すペンタフィリン(2.1.1.1.1)の合成に成功し、その物性を論文誌に報告した(J. Org. Chem. 2017, 82, 10737-10741)。また、同様に生体型ピロールを用いた2,2’ビピロールを用いたサフィリンの合成を行った。本化合物は結晶構造が明らかとなった初の中性状態でピロールが反転していないサフィリンであり、大きくたわんだ構造を有することが判明した。さらに、銀イオンを作用させることによって転位反応が起こり、Neo-Confused型のサフィリンの合成にも成功した。これについてもChemistry An Asian Journal 誌に投稿し、Very Important Paperとして採録、ChemistryViewsでハイライトされた (Chem. Asian. J. 2018, 13, 934-938)。 さらに、現在進行している研究テーマについて日本化学会、日本薬学会、基礎有機化学会、International Symposium on Novel Aromatic Compoundsにおいて合計7件の学会発表を行っている。本研究に関する2報の論文発表を行ったのみならず新たな研究展開も見られており、極めて順調に研究が展開されている。
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