研究課題/領域番号 |
17K14451
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
有光 暁 琉球大学, 理学部, 助教 (30546982)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フッ素 / 有機分子触媒 / 不斉反応 |
研究実績の概要 |
フッ化水素酸は、安価なフッ素化試薬として工業的にも幅広く利用されているが、精密有機合成への利用は制限されている。その理由として、水溶液状態のフッ化水素が安定な水和物として存在しているために反応性が下がっていること、また水の存在下で使用できる有機合成反応が少ないことが挙げられる。そこで本研究では、HFへの高い配位能を有するウレア部位を導入した不斉相間移動触媒を創製し、HFの水層から有機層への効果的な移動を可能にすることで、有機層での不斉フッ素化反応を目標とした。
初年度は新規触媒合成の確立を目指し研究を展開した。その結果、既知反応を組み合わせることで合成ルートを確立することに成功した。触媒のデザインには水素結合のアクセプターとドナーの配置を考慮し行った。今後はフッ化水素との会合定数を求めるためにNMR実験を行っていく予定である。また、同時並行する形で新規ハロゲン化反応の開発にも取り組んだ。例えばエノール化する不飽和アルデヒドに対して、既存の反応体系では達成不可能なクロロ化反応に成功している。また生理活性物質への立体選択的フッ素基の導入にも成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はビナフチル骨格を有する新規触媒を合成することから着手した。当初の合成計画の通りに合成を進め、プロトタイプとなる触媒の合成方法を確立し、数種類の触媒を調整することができた。触媒構造は、フッ化水素の補足に重要と考えらる水素結合アクセプターとドナーの配置に配慮しデザインした。次年度からは、フッ化水素の補足能力を評価することを目的とする。
同時並行する形で、モデル反応の開発も行った。エノール化する不飽和アルデヒドを用いいくつかの新規反応を開発することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、当初の予定通りエポキシの不斉フッ素化反応により触媒能を評価する。同時に触媒がどのようにフッ化水素と会合しているのかを調べるために、19FNMRによる定量実験を行う。触媒合成は初年度に確立した合成法の最適化を行い、触媒ライブラリーの迅速な構築に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
いくつかの試薬に関しては他のプロジェクトで使用しているものから合成することができたため購入する必要がなかった。
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