研究課題/領域番号 |
17K14461
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土方 優 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任助教 (70622562)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多孔性配位高分子 / 理論計算 |
研究実績の概要 |
配位高分子において、ゲスト捕捉分子によって引き起こされる電子状態と局所構造の変化、およびその変化が配位高分子骨格全体へ伝搬する過程を理論計算によって明らかにすることを目指す。本年度は異なる金属種を用いた同型の二核金属錯体モデルを用いて検討を行った。さらにいくつかのゲスト分子種を用いてモデル骨格の構造変化と電子状態の変化を明らかにし、以下の結果を得た。 (1)用いたモデル錯体は配位不飽和なオープンメタルサイトを有しており、ガス分子との相互作用が可能である。ガス分子と相互作用していない状態における、基底状態での電子状態を決定した。一般的に用いられている遷移金属に注目し計算を行ったところ、金属種によって金属間の結合形成や電子状態の違いなど、金属種に依存した多様な状態を形成していることが明らかとなった。 (2)さらに、ゲスト分子が相互作用した場合、上記の金属間結合の開裂やスピン状態の変化などが誘起されることを確認した。さらに、この変化はゲスト分子種に依存しており、ゲスト分子応じた配位高分子の柔軟性の現れ方の違いを示唆するものであった。 (3)ゲスト分子が相互作用した場合の母体となる二核金属錯体の不安定化を評価した。この不安定化はゲスト分子との相互作用によって補償されているが、骨格そのものに注目すると不安定化しており、翌年度に予定している骨格の不安定化がどのように骨格全体に伝搬していくのかを検討していくための重要な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲスト分子との相互作用によって骨格構造そのもは不安定化していることを確認でき、翌年度に予定している骨格不安定化の伝搬機構の追跡に重要な知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた通り、得られた骨格の不安定化を第一原理分子動力学計算と構造最適化を行うことで、骨格不安定化の伝搬機構の解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は次年度に向けた基礎的知見の収集に注力したため、本年度末まで計算機購入を行わなかった。しかし来年度は計算機の増強が必須のため繰り越し分も合わせて必要となる計算機の購入を行う予定である。
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