研究課題
配位高分子において、ゲスト捕捉分子によって引き起こされる電子状態と局所構造の変化、およびその変化が配位高分子骨格全体へ伝搬する過程を理論計算によって明らかにすることが本研究の目的である。二核金属錯体モデルにおいて前年度に決定した電子状態に対して各種ガス分子(スピンを有する一酸化炭素分子、スピンを有しない一酸化窒素分子、窒素分子、二酸化炭素分子)との相互作用エネルギーを評価した。この際、骨格が不安定化している事は前年度に明らかにしていたが、これらについて骨格全体に関してはそれほど不安定化が誘起されておらず、これによって補足されるガス分子の吸着挙動の違いが発現しているわけではないことが明らかとなった。一方で、ガス分子が相互作用する前に相互作用サイトを埋めてしまっているフラグメントの存在によってガス分子に依存した吸着挙動の違いが現れている可能性を見出した。また、ガス分子の貯蔵分離など吸着現象とは異なる配位高分子の別の機能として伝導があるが、これも骨格の構造変化の伝搬過程が重要であり、以前に報告されていたプロトン伝導を示す系についての理論計算を行った。この系においては実験的に言われていた伝導キャリアと考えられていた分子は確かにダイナミックな運動状態にあったが、プロトン伝導を示す機構には関与しておらず、伝導キャリアを媒介する骨格部分のみで伝導が誘起されていることを示めす結果を得た。この結果は現在盛んに行われているプロトン伝導性配位高分子の材料設計における重要な指針を与えるものである。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Dalton Transactions
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1039/c8dt04624g
巻: 48 ページ: 2545-2548
10.1039/c8dt04218g