研究実績の概要 |
本研究では、白金に代わる革新的固体高分子型燃料電池用電極触媒を指向した含窒素炭素系材料を開発するものである。 これまでに我々が開発した 2 ゾーンラジカル重合型化学気層成長(2-Zone RP-CVD)法 で Z 型モノマーを用いると、金属基板上で分子が変形、自己認識して重合し、自己組織化ホモキラルポリマーを与えることを発見した。また、得られた高密度前駆体高分子アレイから加熱による高効率脱水素縮環反応を経て、鋸型エッジを持つ、アセン型自己組織化 GNR の創出に成功している(Nature Chem. 2017, 9, 57)。 平成29年度は種々のZ型分子を用いたボトムアップ型グラフェンナノリボン(GNR)の合成を試みた。そこでZ型モノマーの2本のフェニレン枝の長さを変えてCVDを行ったところ、予想に反して、分子内部分縮環反応が進行したZ型アレイが生成し、以前の結果と違う反応モードがあることが明らかとなった。分子の金基板上への吸着シミュレーションを検討したところ、反応活性部位であるビラジカルが金基板と相互作用することによって、以前の結果と異なり、Z型分子が対称型の分子構造となり、分子間の重合反応が進行せず、分子内脱水素縮環反応が進行したことが示唆され、分子設計指針に重要な知見をもたらした。
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