本研究は、白金に代わる革新的固体高分子型燃料電池用電極触媒を指向した含窒素炭素系材料を開発するするものである。高度自己組織化グラフェンナノリボン(GNR)の合成から、これらの分子間反応によるピリジン型窒素含有炭素系材料を目指した。含ピリジン環前駆体分子を設計・合成した後、我々の開発した2ゾーン化学気相成長法をすると、前駆体高分子が生成した。さらにこれを500℃で加熱することによってGNRが生成したことを走査トンネル顕微鏡(STM)による直性観察によって確認した。生成したGNRをさらに高温で加熱すると当初予想していた分子間反応が起こり隣合うGNR同士が結合し、2次元様の新規ピリジン型窒素含有炭素系材料の開発に成功した。得られた新規材料についてもSTMによる直接観察に成功し、走査トンネル分光(STS)によってその電子状態についても明らかにした。また、この材料は空孔を有しており、この空孔を用いることで新たな機能発現も期待できる。
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