本研究はベンゼンなど炭化水素の構成要素であり安定な炭素-水素結合を均一系鉄触媒によって,温和な条件下,一段階で炭素-炭素結合に変換する手法を開発した.持続可能な開発目標の観点から「ありふれた元素」を用いた有機合成触媒の開発が望まれており,地球上に大量に存在する鉄の触媒作用に関する重要な発見である.本反応によれば二種類のことなる芳香族化合物のクロスカップリングにおいて,100%の選択率で有機エレクトロニクス材料の簡便,安価,低毒性の合成が可能である.本成果は環境負荷の高い金属触媒に頼る化学反応から脱却し,有用な有機化合物を効率よく提供することで人類の持続的発展を可能にすることが期待される.
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