研究課題/領域番号 |
17K14487
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
植田 光洋 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60566298)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脂肪族飽和炭化水素 / ペルオキソ二硫酸アニオン / 四級ホスホニウム塩 |
研究実績の概要 |
貴重な炭素資源の有効利用を目指し、安価な炭素資源の高付加価値炭素化合物への変換反応の開発を目的とした研究を行なっている。平成29年度では、ヘキサン等の単純な脂肪族飽和炭化水素を位置選択的に官能基化する事が可能な有機分子触媒の開発を目指した。具体的には、反応点近傍に三次元立体的に適切な反応場を構築可能な四級ホスホニウムカチオンおよび四級アンモニウムカチオンを有した、ペルオキソ二硫酸アニオンの開発を行なっている。いくつかの新規四級ホスホニウム塩の合成に成功し、現在はまだ脂肪族飽和炭化水素の高位置選択的官能基化は達成できていないが、目的達成に向けての重要な知見が得られている。今後、これまでに得られた知見をもとに、高位置選択的官能基化の達成を目指し、さらに検討していく予定である。 また、立体的にかさ高い有機ラジカルとしてtBuOラジカルに着目し、上記研究と同様、脂肪族飽和炭化水素から、水素の引き抜きが可能なラジカル種の、立体的なかさ高さが水素引き抜き位置の選択性に与える影響を調査している。現在までに、tBuOラジカルの発生試薬として、ジ-tert-ブチルペルオキシドを用い、脂肪族飽和炭化水素としてイソオクタン、ラジカルアクセプターとしてβ-ニトロスチレンを用いた反応において、イソオクタンのメチンの位置において選択的に反応が進行する事を見出している。今後、様々な脂肪族飽和炭化水素を用い、反応基質の構造の違いにより、反応位置の選択性にどのような違いが出現するかを調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた通り、 四級ホスホニウムカチオン-ペルオキソ二硫酸アニオンからなる新規ホスホニウム塩の合成手法を確立することに成功している。また、合成した新規四級ホスホニウム塩を用いる事により、反応の位置選択性はまだ完璧でないものの、反応が円滑に進行することも見出している。今後は、本手法をもとに、様々な立体構造を有した四級ホスホニウム塩を合成し、より位置選択的に反応が進行する新規四級ホスホニウム塩の開発に精力的に取り組んで行く。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、モデル反応において、より位置選択的に反応を進行させることができる、四級ホスホニウム塩の開発を継続して行なっていく。 現在までに合成に成功した四級ホスホニウム塩を利用し、様々な脂肪族飽和炭化水素を用いて、反応基質の構造の違いにより、反応位置の選択性にどのような違いがでるかを検討する。 高位置選択的な反応が達成できたら、当初の目標通り、ラジカルアクセプターの適用範囲の拡充、四級ホスホニウムカチオン-ペルオキソ二硫酸アニオンによる位置選択的官能基化反応の触媒反応化を目指す。
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