研究課題/領域番号 |
17K14499
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
真栄城 正寿 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40744248)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | タンパク質 / 結晶構造解析 / マイクロ流体デバイス / 放射光 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マイクロ流体デバイスにアレイ化したタンパク質の単結晶による立体構造解析法の確立である。本年度は、マイクロ流体デバイスの結晶化空間の深さが、タンパク質の結晶化挙動に与える影響の解明に取り組んだ。また、放射光施設(高エネルギー加速器研究機構 フォトンファクトリー)において、デバイスオンチップでの結晶構造解析を行った。結晶化空間の深さを10、20、40、50μmに精密に制御したマイクロデバイスを作製した。作製したマイクロ流体デバイスを用いて、モデルタンパク質のリゾチームの結晶化を行った。デバイス基板に配向するリゾチーム結晶面の割合によって結晶化挙動を評価した。その結果、40、50μmの深さのデバイスでは、リゾチームの(1 1 0)面が約60%の確率で配向することが分かった。一方で、深さ10、20μmの深さのデバイスでは、リゾチームの(1 1 0)面のみがほぼ配向することが明らかになった。 高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリー(PF)のBL5A、およびBL17Aのビームラインにおいて、結晶化デバイスによるオンチップX線回折実験を行った。これまでに作製したオンチップ測定用のマイクロ流体デバイスの部材の一部をCOC(シクロオレフィンコポリマー)-PDMS系から、COP(シクロオレフィンポリマー)-PDMS系に変更した。これによって、デバイスの厚みを240μmから220μmに低減することができた。X線結晶構造解析の結果、1.6オングストロームの分解能で構造決定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、タンパク質結晶をマイクロ流体デバイス内でアレイ化するために必要な情報である結晶の配向性について明らかにすることができた。また、フォトンファクトリーでのオンチップ結晶構造解析のための測定条件やデバイス条件の検討も十分進んでおり、おおむね順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究成果をもとに、マイクロ流体デバイス中にリゾチームの単結晶をアレイ化して、フォトンファクトリーにおいてX線結晶構造解析を行う。また、結晶のアレイ化密度を最適化して、よりハイスループットに測定可能なマイクロ流体デバイスを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった装置を他の外部資金で購入したために繰り越しが生じた。本年度は、昨年度よりも放射光施設での測定頻度が増えるため、デバイス部材の材料費や旅費に繰り越し分の予算を使用する予定である。その他は、研究計画に従った予算執行を行う。
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