線維芽細胞増殖因子(bFGF)は、幹細胞の未分化状態の維持と増殖に必須の因子として広く使用されており、現在の再生医療分野で最も重要な増殖因子の一つである。その一方、bFGFは熱的安定性の低さから代替物質の開発が求められてきた。 本研究では、bFGFの持つ数々の欠点を克服する、化学合成可能な人工増殖因子の開発を行った。FGFが受容体を二量化させることで細胞内シグナルを誘起するメカニズムに着目し、増殖因子受容体に結合する核酸アプタマーの二量体を数種類合成し、特定の核酸配列がFGFと同様の機能を示すことを見出した。また、ヒトiPS細胞の培養においてbFGFの機能を代替する核酸アプタマーの開発を行った。
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