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2018 年度 実施状況報告書

オリゴDNAを用いたタンパク質発現を促進させる新手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K14513
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

渡邉 貴嘉  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (70554020)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードタンパク質 / オリゴDNA / RNAの高次構造 / 翻訳促進 / バイオ医薬
研究実績の概要

本研究では、mRNAの高次構造を形成する領域に相補的なオリゴDNAをハイブリダイズしmRNAの局所的な高次構造を解消させることで、タンパク質の翻訳を促進させる新手法の開発を目指して研究を進めている。
前年度までに、mRNAにオリゴDNAをハイブリダイズさせ、mRNA中の高次構造を解消することで翻訳を促進させることが可能であることを明らかにしたことから、平成30年度はタンパク質をコードするmRNAにオリゴDNAをハイブリダイズさせ翻訳させることで、タンパク質の発現促進が可能かどうか検証した。
まず、タンパク質の発現と構造形成を簡単に評価できる緑色蛍光タンパク質(GFP)をモデルタンパク質として用い、GFP mRNAの様々な領域にオリゴDNAをハイブリダイズさせ無細胞翻訳系でGFPを発現させたところ、特定のmRNA領域にオリゴDNAをハイブリダイズさせることでGFP蛍光強度の増大が確認された。また、翻訳された蛍光性・非蛍光性を含む全GFP量をウェスタンブロットで定量したところ、オリゴDNAのハイブリダイズによるGFPの構造形成への影響はほとんど無く、GFP発現量そのものが向上したと考えられた。さらにこのオリゴDNAによる翻訳促進法を、バイオ医薬として期待されているインターフェロンα8(IFNα8)の発現に適用した。その際、IFNα8の検出を容易にするために、アンバーサプレッション法を用いてIFNα8のN末端領域に蛍光標識アミノ酸を導入しIFNα8発現量を定量したところ、GFP同様に特定のmRNA領域にオリゴDNAをハイブリダイズさせることでIFNα8の発現量の向上が確認された。このように、オリゴDNAを用いた本手法は、タンパク質の発現効率を向上させる新手法として有用であることが実証された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オリゴDNAを作用させて発現させたタンパク質の発現量と活性(構造形成)の相関については更なる検証が必要であるが、タンパク質をコードしたmRNAの特定の領域に相補的なオリゴDNAをハイブリダイズさせ翻訳することで、タンパク質の発現効率を向上させることが可能であることを実証できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本手法は非常にシンプルでありながら世界的に類を見ないタンパク質の発現促進技術であることから、引き続き様々なタンパク質に対して実証を重ねていく。また、このオリゴDNAを用いた翻訳促進法がリボソームのヘリカーゼ活性によってmRNA/オリゴDNA二重鎖が解かれて翻訳が促進しているかどうかを検証するために、オリゴDNAの一部をヘリカーゼ活性を受けにくい人工核酸に置換したキメラオリゴ等を用いて検証することで、翻訳促進のメカニズムについての研究も進める。さらに、無細胞翻訳系のみならず細胞内におけるタンパク質発現への適用についても検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

オリゴDNAを用いたタンパク質の翻訳促進は確認されたものの、タンパク質の発現量と活性(構造形成)の相関を調べる方法の検討と改良に時間を要したため、当初の計画に遅れが生じた。この遅延によって実施できていない研究を遂行し取りまとめを行うため、次年度も継続して行うことにした(補助事業期間延長承認済み)。
次年度は、研究の遅延により実施できていない遺伝子工学実験、タンパク質発現、細胞内タンパク質発現実験に必要な試薬購入費、学会発表のための旅費、論文発表のための英文校閲・論文掲載費に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] オリゴDNAのハイブリダイゼーションによるmRNAの翻訳効率の向上2019

    • 著者名/発表者名
      渡邉貴嘉・森下昌輝・芳坂貴弘
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
  • [学会発表] オリゴDNAのハイブリダイゼーションによるmRNAの翻訳効率の向上とバイオ医薬への応用2019

    • 著者名/発表者名
      渡邉貴嘉・森下昌輝・芳坂貴弘
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会

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公開日: 2019-12-27  

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