研究課題/領域番号 |
17K14517
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
稲葉 央 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (00778011)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ペプチド / 微小管 / チューブリン / Tau / 分子内包 / 金属ナノ粒子 / 生体材料 / ナノマテリアル |
研究実績の概要 |
本研究では、従来その外部表面における機能化のみが行われてきた微小管の内部空間に分子を導入する手法を確立し、金属ナノ粒子を内包した微小管の構築とその物性解析を行う。当該年度は実施計画に従い、(1)微小管内部表面に結合するペプチドの開発と、(2)金ナノ粒子内包微小管の構築を重点的に推進した。以下に各項目の概要を示す。 (1)微小管内部表面に結合する分子として、微小管関連タンパク質Tauの繰り返し配列をもとに4種類のペプチドを設計・合成した。リンカーを介して末端に導入したシステインに蛍光色素を化学修飾し、微小管への結合解析を行った。興味深いことに、このうち1つのペプチドは、微小管を構成するタンパク質であるチューブリンと相互作用させてから微小管を形成した場合は微小管の内部表面に、形成した微小管に添加した場合は微小管の外部表面に結合することが明らかとなった。ペプチドとチューブリンの結合における解離定数の算出や、ペプチドの微小管安定化への影響の解析を行い、このペプチドが微小管内部に分子を導入するための優れた性質を有することを見出した。 (2)上記の微小管内部表面に結合するペプチドを金ナノ粒子に修飾した複合体を合成し、微小管への金ナノ粒子の内包を試みた。ペプチドと金ナノ粒子の複合体をチューブリンと複合化してから微小管を形成することで、効率的な微小管への内包が確認された。現在その詳細な物性解析を進めている。 以上のように、Tauタンパク質から設計したペプチドが微小管内部に結合することを明らかとし、金ナノ粒子の内包にも成功している。本手法を拡張することで、微小管への様々な分子の内包が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では「微小管の内部空間への分子導入法の確立」および「金属ナノ粒子の微小管への内包による配列化形成」を目的としている。当該年度は研究実施計画通りに微小管内部表面に結合するペプチド開発を推進し、設計したペプチドの微小管内部への結合を明らかとした。加えて、次年度の研究実施計画であった金ナノ粒子の微小管への内包にも成功しており、金属ナノ粒子を内包させるための重要な知見を得ることができた。したがって、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に得られた知見をもとに、微小管結合ペプチドを用いて微小管に様々な金属ナノ粒子を導入する手法を確立し、その物性解析を目指す。金属ナノ粒子に直接ペプチドを修飾する手法に加え、微小管結合ペプチドに金属配位ペプチドを連結したペプチドを用いることで、微小管内部における金属ナノ粒子/ナノワイヤーの合成を試みる。また、微小管の巻き方を変えることで金属ナノ粒子の配列が変化し、物性変化が期待できる。これらの解析に加え、微小管自体の構造や運動性に及ぼす影響を解析し、微小管からなるナノマテリアルの新たな設計指針の構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも試薬等の消耗品にかかる費用を抑えることができたため、より有効に予算を活用するために次年度に使用することとした。 次年度は、金属ナノ粒子を内包した微小管の構築と物性評価に重点を置く。研究費は、ペプチドおよび金属ナノ粒子合成のために必要な試薬類と消耗品、測定に必要な器具、得られた成果を国内外で発表するための旅費、論文校正費に使用する。
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