本研究では、エネルギーの小さい長波長の可視光照射下においても高効率な光増感反応の達成を目指し、長波長光を吸収できる光増感剤と、獲得した電子を他の分子へと効率よく供与できるリング状Re(I)多核錯体を連結させた新規の多核錯体の創製を行った。新規脱カルボニル反応を開発し、Ruジイミン錯体とリング錯体が連結したRu-リング多核錯体を合成した。得られた四核錯体を光増感剤として、600nmの光を用いたCO2還元光触媒反応を行うと選択的にCOが生成し、反応量子収率は25%に達した。この値はRu錯体を光増感剤とした場合の2.6倍であり、リング部位を連結すると光増感能が大幅に上昇することが明らかになった。
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