研究課題/領域番号 |
17K14527
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
玉井 康成 京都大学, 工学研究科, 助教 (30794268)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 共役高分子 / 有機薄膜太陽電池 / 光電変換 / 超短パルス分光 |
研究実績の概要 |
本研究では超高感度過渡吸収分光法により、構造が明確な電子ドナー/アクセプター界面における電荷ダイナミクスを解析し、ヘテロ界面での構造と電荷ダイナミクスの関係を明らかにすることを目標にしている。 研究計画における当該年度の目標は非共軸光パラメトリック増幅器(NOPA)の構築による、過渡吸収分光法の高感度化であった。具体的な実施内容は以下の通りである。 チタンサファイアレーザーから出射された波長800nmの基本波をビームスプリッタにより二手に分割した。一方はBBO結晶を用いて第二高調波を発生させ、波長400nmに変換したのちこれをOPAのポンプ光とした。もう一方はサファイア結晶に集光し、自己位相変調を用いて白色光に変換したのちOPAのシード光とした。ポンプ光とシード光を別のBBO結晶に集光し、非共軸で光パラメトリック増幅することで増強された白色光を得た。現在は白色光の最適化を行うとともに、構築した超高感度過渡吸収分光装置の性能評価を行っている。 また、当該年度では研究対象となるヘテロ膜の作製条件の検討も併せて行う予定であった。研究開始前より積層膜の作製方法は確立されていたが、電子アクセプターに電子ドナーよりも狭バンドギャップの材料を選択することで、ヘテロ膜の測定中に副反応として生じてしまう一重項励起子の二分子消滅過程を抑制することができることがわかったため、今後の測定では狭バンドギャップアクセプターを第一優先対象とすることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の一つ目の研究目標であるNOPAを構築し、増強された白色光を確認できたため、当初計画に沿った進行をしていると判断した。まだ性能評価が完了していない段階のため多少の遅れはあるものの、一方でもう一つの年次目標であったヘテロ膜の作製については当初計画以上の進展が得られたため、総合的にはほぼ想定の範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
構築したNOPAを用いてヘテロ膜の実測定を行い、電荷ダイナミクスを評価する。結晶性など様々な構造因子を変化させた膜に対して一連の測定を行い。ヘテロ界面での構造と電荷ダイナミクスとの関係について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の予想使用量と実使用量に差が出たため、わずかではあるが次年度使用額が発生した。当該費用は次年度においても消耗品の購入に充てる。
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