研究課題
全固体ナトリウム電池は、高い安全性・信頼性を有する次世代二次電池として注目されている。本研究課題では、ナトリウム含有した遷移金属硫化物に対して、急冷法やメカノケミカル法など準安定結晶構造の新物質が得られる手法を用いて、ナトリウムイオン電池用の電極活物質として利用可能な新物質の探索を目的としている。最終年度は、①2018年度までに見出したNa-Ti-S系及びNa-Nb-S系新物質の構造解析と特性評価と②Na-Fe-S系のナトリウムイオン電池用電極活物質の探索を目標とした。①これまでに開発した4種の異なる構造のNa2TiS3に対して、XRD、XPS、XAFS、TEMなどを用いた構造解析を進めた。それぞれ、硫黄のパッキングが異なるが、非晶質相Na2TiS3以外は、おおむね規則的な配列となることが分かった。低温相Na2TiS3では、NaとTiが規則的に配列していた一方で、高温相Na2TiS3や立方晶岩塩相Na2TiS3では、カチオンが不規則に配列していた。高温相Na2TiS3、非晶質相Na2TiS3、立方晶岩塩相Na2TiS3では、低温相Na2TiS3と比較して密度が低く、ナトリウムイオンが拡散しやすい骨格を有することが示唆された。TEM観察の結果、高温相のNa2TiS3では多くの積層欠陥が確認された。今後、積層欠陥を利用した新規な高容量正極材料の材料設計の確立が必要である。充放電構造解析によって、共有結合性の S-S 結合の形成・解離や遷移金属の配位数変化が生じる高容量充放電が生じうることを明らかにした。②Na2FeS2やNa2FeS3を新規に合成し、電解液を用いたナトリウムイオン電池及び全固体電池で特性評価を行い、280 mAh g-1の可逆充放電が可能であることを見出した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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