近年,発電所といった薄板構造からなる大型構造物の高経年化,特に金属疲労が問題視されており,国民の安全性を保障するための超音波非破壊評価の重要性が増している.特に,疲労の早期段階(主き裂発生前の塑性ひずみの蓄積段階)などのように明示的な波動散乱を伴わない場合には従来法による損傷評価が困難であることが指摘されており,それらを検出可能な評価手法の確立が喫緊の課題となっている.本研究で着目した板波の非線形三波相互作用は疲労の早期段階を高感度で捉えられる可能性を秘めており,本研究で得られた知見は今後薄板構造の新しい非破壊評価法を構築する際の理論的基盤になると期待される.
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