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地球温暖化問題が深刻化する近年，運輸業界では，低燃費化によるエネルギー効率向上を図る動きがある．材料学の観点からは車体の軽量化が挙げられ，繊維強化プラスチック(FRP)が注目されている．界面接着性がFRPの性能は大きな影響を及ぼしているため，繊維に前処理を行う必要がある．本研究では，更なる界面接着性向上を目的に，直交表を利用することでILSSが向上する最適なプラズマ処理条件を明らかにする．また，XPS，AFMや力学試験を行うことで，プラズマ処理によりILSSが向上したメカニズムの解明を行う．更に，最適条件を基に作製したFRPの曲げ試験を行うことで，FRPの力学特性がどのように変化したのか検討する．
R1年度はプラズマ処理による表面特性向上の原因を解明した．その原因の解明を物理的側面と科学的側面の両方から調査した．物理的な側面では，原子力顕微鏡(AFM)により処理前後繊維の粗さの変化を調べた．AFMの結果からは，ガラス繊維，炭素繊維ともにプラズマ処理を行うことで表面粗さが粗くなっていることが確認できた．これは，プラズマエッチングによって繊維表面が粗くなったと考えられる．化学的な側面では，X線光電分光法(XPS) により処理前後繊維の表面官能基の変化を調べた．その結果，プラズマ処理を行うことでガラス繊維表面の酸素の割合が増加し，炭素の割合が減少していることが確認できた．これは，プラズマエッチングによりガラス繊維表面のシラン処理剤が除去されたことと，酸素ガスを使用していたためと考えられる．また，C1s内殻準位スペクトルの変化の結果から，プラズマ処理を行うことで新たにCO3が生成され，更に親水性基であるC=Oが多く確認された．この結果から層間せん断強度を向上させた官能基はカルボニル基(C=O)だと考えられる．
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