研究課題/領域番号 |
17K14562
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小川 文男 立命館大学, 理工学部, 助教 (00424812)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非鉛はんだ / クリープ / 疲労 / クリープ疲労 / ミニチュア試験 |
研究実績の概要 |
本研究では、非鉛はんだの非比例負荷における疲労試験、クリープ疲労試験を実施して多軸クリープ疲労特性を調べるとともに、これらに添加元素が及ぼす影響を明らかにする。具体的には多軸の負荷経路が疲労寿命、クリープ疲労寿命に及ぼす影響を明らかにするとともに、破損形態、破損機構と元素添加の関係を明らかにする。平成29年度は標点部の直径2mmの小型試験片を用いてクリープ特性(クリープ伸び、破断時間)を調べた。ニッケル、ゲルマニウム、ビスマスの元素添加に着目して、クリープ特性がどのように変化するか考察した。その結果、元素添加により、クリープひずみは減少し、クリープ破断時間は長くなることを明らかにした。特に、ビスマス添加は効果が高いものの、破断面は脆性的になることが明らかとなった。さらに、ひずみ制御の引張・圧縮の疲労試験を行い、疲労破損のメカニズムを調べた。その結果、ニッケル、ゲルマニウムを添加したはんだでは金属間化合物の割れが発生し、それらを起点としてき裂が進展することで破損にいたることが分かった。一方、ビスマスを添加したはんだでは表面から割れが発生し、き裂が進展することが分かった。ビスマスの添加は固溶強化に有利に働く一方で、試験片表面からの割れを招くことを明らかにした。これらの違いが、疲労試験中における応力振幅の低下、疲労寿命の違いを支配していることが分かった。平成29年度はさらに、非比例クリープ疲労試験を行うための、疲労試験機の整備、ロードセル等の設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非比例負荷の疲労試験についてはロードセルの作製などを行っている最中であり、本試験の開始はこれからであることから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
クリープ、疲労試験において発生したき裂を詳細観察することにより、破損のメカニズムをさらに明らかにする。平成30年度は非比例負荷(軸・ねじり)における疲労、クリープ疲労試験の本試験を行う予定である。これらから負荷経路が各はんだの疲労寿命に及ぼす影響を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
小型疲労試験機の開発のために予算を計上していたが、試験機に用いるアクチュエータがねじりに弱いこと、破壊を防止するために特別な設計が必要となることが明らかとなり、開発が遅れた。平成30年度はこの試験機の開発も行っていく予定である。
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