研究課題/領域番号 |
17K14576
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
穂苅 遼平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (20759998)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノ印刷技術 / ナノインプリント / 表面微細構造 / 光学素子 / メタマテリアル |
研究実績の概要 |
印刷で形成されるインクパターンの細線化に向けて、ナノインプリントによる表面微細構造を利用した印刷技術の開発を行い、本年度は下記の成果が得られた。 1) 80nm線幅の微細印刷パターン形成 微細印刷方法として紫外線照射によるフィルム基板の表面改質を利用した方法がよく知られており、近年の研究報告例では800nm線幅のサブマイクロメートル印刷パターンが形成され注目されてきた。本研究では、さらなる細線化方法としてナノインプリントによる表面微細構造を利用する方法を提案し、80nm線幅でかつアスペクト比が1を超える金属インクパターンの印刷形成に成功した。本技術は、被印刷基板であるフィルムにナノインプリントで狭い溝を形成し、溝部にインクを充填する技術である。溝形状やぬれ性などの要素を制御することで、溝部のみにインクを充填することが可能になった。 2)インクナノ構造体による光学機能実証 開発したナノ印刷技術による光メタマテリアルの試作を行った。メタマテリアルは入射光の波長よりも小さなサイズの人工構造体で構成され、その構造の形状や構成材料によって光学特性を制御すうことができる。一般には、スパッタリングや蒸着などの真空成膜装置と電子線描画装置を利用してナノ金属構造体を形成するが、本研究では、インクで構成されるナノ構造体を作製し、構造の形状に依存する光学応答を観測することに成功した。また、インクの焼成条件によりインクナノ構造体の物性変化が生じることを利用した光学応答のチューニングも実証できた。これにより、インクを用いた微細構造による光学応用の可能性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年目の目標を達成する線幅80nmパターンが形成可能なナノ印刷プロセスが実証できた。2年目に計画していた光学応用のための試作を前倒しで行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実証したナノ印刷プロセスについて、インクの充填メカニズムやインク焼成条件による形状変化などより詳細に調べることで主要なパラメータを明らかにし、技術の骨太化を図る。また、光学応用サンプルについて、印刷プロセスで形成したことによる他にない光学特性の長所にフォーカスし、応用デバイスの開発を行っていく。
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