3次元に埋め込まれた表面メッシュに対して,(立体としての)位相を保存する骨格線を抽出するアルゴリズムの開発・実装を行った.問題のある箇所の再実装が終了し,様々なモデルに対して数値実験を実施した.0より大きな種数を持つが頂点数が非常に少ないという特殊なモデルに対しても数値実験を実施したが,提案アルゴリズムはそのようなモデルの骨格線を抽出することができないことが分かった.これは提案アルゴリズムだけの問題ではなく,辺縮約を使用する全ての骨格線抽出法が持つ問題であることが判明した.この問題に対応するには,骨格線の抽出に辺縮約以外の局所位相操作も使用する必要がある.辺縮約以外の局所位相操作には対角変形や辺分割があるが,対角変形もこの問題に対応できない.辺分割を拡張した局所位相操作と辺縮約を組み合わせて使用することにより,上記のような処理の難しいモデルにも対応するロバストな骨格線抽出法が設計できた.辺縮約のみを利用した骨格線抽出法では,位相的ノイズにより小さなハンドル・トンネルを持つようなモデルの骨格線を(位相を保存したままでは)抽出できない場合があるが,提案する骨格線抽出法は問題なく位相を保存したまま骨格線を抽出できる. 本研究で開発した骨格線抽出法は立体としての位相を保存したまま,ロバストに骨格線を抽出することができる.骨格線は幾何形状処理において多くの形状処理アルゴリズムの前処理としても利用されるものであるため,骨格線抽出法の改善は他の形状処理法においても有用である.なお,提案法では辺分割によりオリジナルのメッシュとは異なる接続関係を持つメッシュの骨格線を抽出することになるため,二つのメッシュの差を最小にするような手法の開発が望まれる.それについては今後の研究課題としたい.
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