本研究は、人工知能など推論技術を適用した計算機援用設計技術を基礎として、様々な構成要素・物理法則を考慮しシステムの挙動を得るModelica技術と、システムが満たすべき機能という観点でユーザーニーズの論理構造を記述する機能モデリング技術とを統合し、これまでギアボックス等、構成要素の種類や支配的な物理法則が限定されたシステムの設計に特化したComputational Design Synthesis(CDS)の理論を拡張し、ハイブリッド自動車等の複雑なシステムの全体構成設計に適用可能なCDSを開発・体系化するものである。 本研究の1年目であるH29年度は、本研究の実験環境と実験モデルの構築を行った。計画書の予定通り、電力供給システムをモデル例として、Modelicaによるシステム評価とその評価結果を踏まえた代替案生成方法を提案し、本研究の一年目の目的を達成できた。この結果は設計工学分野の国際ジャーナルとして評価を受けているJAMDSM誌に採択された。 引き続き最終年度であるH30年度では、スマート製造システムを例として採用し、より広範にわたる構成要素や物理現象、その他の知識表現を扱うためのCDSの拡張を試みた。スマート製造システムが持つ機能を洗い出し(機能的視点Functional View)、スマート製造システムの運用時の使われ方(使用的観点Usage View)と各機能との関係を分析した。そして両視点で整理された設備などの要素を組み合わせて、離散事象シミュレーションで実行可能なスマート製造システムモデルの構築に成功した(Procedia CIRP誌に採択)。
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