研究実績の概要 |
半導体洗浄に用いられるメガソニック洗浄は, MHz帯の高周波数音波を用いた物理的な洗浄手法であるが, メガソニック波によって誘起されたキャビテーション気泡が崩壊した際に発生する圧力波が半導体デバイスにダメージを与えることがある. そのためメガソニック洗浄を確立した洗浄手法にするためには, メガソニック洗浄における粒子除去メカニズムを明らかにする必要がある. 本研究では, そのためにメガソニック場中の気泡挙動の流体解析と付着粒子の構造解析の連成解析手法の開発を行う. 本年度は, 前年度に構築した流体構造連成解析手法によって, メガソニック波により誘起される気泡振動による付着粒子挙動がある程度妥当に評価できることを示し, 学会で発表を行った. さらに, 付着粒子を再現する拡張個別要素法(EDEM)粒子の妥当なパラメータについて検討を行った. EDEMでは, ある衝撃力を与えてそれによる応力波の伝播速度が音速に一致するようにばね定数を決定する. これによって決定したばね定数を用いて, 一定の圧力勾配を受ける付着粒子のはく離挙動を計算し, 壁に付着している粒子の個数を, 付着粒子の壁面接触半径の理論値をもとに決定することで, 付着粒子がはく離しうる圧力勾配の値が, 理論解析から予測される値と同程度になることがわかった. 流体構造連成解析においては, これまで流体から付着粒子への一方向連成であったが, 付着粒子の影響が流体側へも反映されるように, 付着粒子が存在している流体側セルの物理量についての検討を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いまだ流体構造連成解析を通してメガソニック洗浄における付着粒子除去メカニズムの解明にまではいたっていないが, 前年度に課題としていた構造解析パラメータの検討を十分に行った. ここで定めた構造解析パラメータを用いることで, より妥当な付着粒子のはく離判定が可能となり, 付着粒子除去メカニズムの解明に向けて大きく進展したといえ, 研究はおおむね順調に進展していると言える.
|