研究課題/領域番号 |
17K14586
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮内 優 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00758691)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 流体解析 / 多孔質弾性体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,生体潤滑機構解明のために関節軟骨内外の流れおよび関節軟骨の変形を考慮した流体と多孔質弾性体の連成解析手法の開発を行い,生体軟骨の変形と滲出が骨端間の流体潤滑及び摩擦特性に与える影響を定量的に明らかにすることである.本年度は,流体と多孔質弾性体のそれぞれに対してコーディングを行い,計算の妥当性と安定性について評価を行った. 移動境界問題に対する流体解析には界面での境界条件を与えやすく,かつ界面における不連続量の再現性に長けるArbitrary Lagrangian-Eulerian法を実装し,プログラミング検証によく用いられているスロッシング問題に適用し,実験結果および他の数値解析解と比較した.時間方向の離散化に対してEuler陽解法,Crank-Nicolson法,Euler陰解法の3種類,非線形項(対流項)の扱いに対してNewton-Raphson法と移流速度を前タイムステップの流速で近似する方法の2種類を実装し,計算精度,計算安定性,計算負荷の観点から最適な離散化を調べた結果,Crank-Nicolson法と移流速度を前タイムステップの流速で近似する方法の組み合わせが,十分な計算安定性を有し,実用的な計算負荷であることがわかった. 多孔質弾性体に対してはBiot理論に基づく流体と弾性体の混合モデルを採用し,有限要素法の8節点6面体要素でコーディングを行った.基礎式は平衡方程式,ダルシー則,非圧縮条件である.これらの方程式の連成解法はLagrange未定乗数法による定式化に基づく一体型解法とした.一軸方向の圧縮問題に適用し,理論解と比較することで計算の妥当性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では流体と多孔質弾性体の連成解析法および多孔質弾性体間の接触解析の開発を本年度の研究内容に入れているが,まだ実施できていないため.
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今後の研究の推進方策 |
流体と多孔質弾性体の連成解析法を開発した後,ウェッジ作用またはスクイーズ作用のみが生じる単純な計算設定とその解析を行い,多孔質媒体の流体透過性による潤滑効果と摩擦特性の影響を明らかにする.そして実形状の生体関節を模擬したモデルを作成し,生体潤滑機構に対して支配的な因子を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
解析及び画像処理用にワークステーションを購入する予定であったが,機関所有のスーパーコンピュータを代替として使用したため.次年度に,旅費,論文投稿料や画像処理用のソフトウェアの購入費に使用する.
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