本研究で構築する粗視化MDシミュレータにより,高解像度の時空間スケールを有した大規模なマルチスケール解析が可能となる.本計算で得られた数百nmの高次ナノ構造特性を実験値と直接比較することで,計算結果の妥当性検証だけでなく,計算結果の可視化による実験結果の物理的解釈も容易にする.このように,ナノスケールからメゾスケールまでの各時空間スケールで起こる化学反応,物質輸送,高次ナノ構造というマルチフィッジクス現象の本質をモデル化して上位シミュレーション手法に組み込むことで数理的に物質輸送を精度よく再現・予測する解析技術は国内外でも見当たらず,非常に重要かつ意義のある研究である.
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