噴霧燃焼法を用いる内燃機関の高効率化には、噴霧を構成する要素の最小単位である単一液滴の燃焼特性を詳細に理解することが重要である。本研究では、再生可能エネルギの一つであるバイオマス由来のアルコール燃料である1-ブタノールと環境負荷物質低減が期待される排気再循環(EGR)技術に着目した。EGRガス中には二酸化炭素および水蒸気が含まれているため、それら微速流の組成が液滴燃焼特性に及ぼす影響を明らかにすることが目的である。本研究では、液滴燃焼特性として瞬時液滴燃焼速度に着目した。 2018年度は、昨年度に準備を行ったマスフローコントローラと気化器からなる微速流組成を任意に変更することが可能な装置を設置した。液滴は2本のSiCファイバ(0.014mm)の交点に懸垂させた。液滴の着火には2対のヒータを用いた。高速度カメラを用いて液滴燃焼時の液滴の影画像を取得し、それらから瞬時液滴直径および瞬時液滴燃焼速度の導出を行った。また、デジタルビデオカメラにより火炎の様子の撮影を行った。まず、微速流の組成を窒素79%、酸素21%とし、流速および温度を変更し、実験を行った。その結果、同一瞬時液滴直径では、瞬時液滴燃焼速度は微速流流速および温度の上昇にともない上昇することが確認できた。微速流中における瞬時液滴燃焼速度は、瞬時液滴直径が小さくなると微小重力環境で得られた値に近づくことがわかった。微速流の組成組成を変更した(酸素濃度は21%で固定)実験を行い、瞬時液滴燃焼速度に及ぼす組成の影響を取得した。
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