研究実績の概要 |
本研究では、医療分野で求められる光熱癌治療の高精度化を目指し、ふく射のナノスケール効果を応用したナノマイクロ散乱性媒体による光学物性制御について、基礎理論を確立し、生体組織への正確なふく射加熱技術の確立を目指す。 2019年度は、磁性ナノワイヤについて、磁場による配列制御で作製した散乱性媒体の光学物性を評価に関して、シミュレーション解析と実験結果を比較し、妥当性を検証した。繊維材料により、散乱性媒体の散乱位相関数の制御が可能であることを示した。 本知見は学術雑誌の論文(Hiroki Gonome, Yuta Arai, Kazuki Fujiwara, Takahiro Kono, Kae Nakamura, and Jun Yamada, "Radiative properties of scattering media containing directionally controlled nanofibers", Journal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer, Vol. 236, p. 106580, 2019.)としてまとめられた。 また、金属ナノ粒子に誘電体を添加することでプラズモンの増強が起こることを明らかにし、誘電体の材料による影響をシミュレーション解析及び実験により評価した。誘電体の材料の屈折率により、プラズモンの増強度が変化することを明らかにした。 そして、局在型表面プラズモン共鳴のオンオフスイッチングを利用した熱輸送スペクトル制御機構の開発を行った。感温性ゲルを媒体に用いることで温度によるスペクトル変調を実現した。 また、粒子形状による粒子の光吸収特性の最適化を目指し、シミュレーション解析によるスパッタリング積層粒子の設計を行い、積層構造によるスペクトル制御の有効性を示した。
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