研究実績の概要 |
本研究では、ふく射のナノスケール効果を応用したナノマイクロ散乱性媒体による光学物性制御について、基礎理論を確立し、正確なふく射制御技術の確立を目指し、研究を進めてきた。本研究の目的は(1)散乱性媒体におけるナノマイクロ構造体のふく射特性制御の理論構築による現象の詳細な解明、(2)粒子形状及び粒子の分散配列状態による光学特性制御技術の開発及び (3)実環境応用を想定した光学制御技術の有用性の評価であった。 2020年度は、粒子形状による粒子の光吸収特性の最適化を目指し、シミュレーション解析によるスパッタリング積層粒子の設計を行い、積層構造によるスペクトル制御の有効性を示した。また、プラズモン増強のための粒子開発として星型粒子の設計を行った。また、新規材料として、ピッカリング粒子の光学特性を明らかにした。本知見は学術雑誌の論文(Mizuho Ono, and Hiroki Gonome, "Effect of air particle interfusion on radiative transfer in a cosmetic layer", Powder Technology, Vol. 379, pp. 596-601, 2021.)としてまとめられた。また散乱性媒体のふく射熱制御技術をミスト噴霧技術に応用することに成功した。この技術は熱中症対策や防火装置への応用が期待できる。 研究期間全体を通じ、散乱性媒体によるふく射制御技術をより強固にし、その応用先も広く開拓できた。特に国民の命を守るための防火技術・熱中症対策技術への社会実装への要望が強く得られたことから、今後、これらの研究に力を入れる予定である。
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