研究課題/領域番号 |
17K14620
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 昭太郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (20785349)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経科学 / MEMS / パターニング / マイクロ加工 / マイクロマニピュレーション |
研究実績の概要 |
従来神経細胞は一度培養すると位置を変更できず、ランダムに形成された回路のみを解析対象としていた。本研究では神経細胞の細胞体・軸索・樹状突起を、生きたまま動的に変えることを世界で初めて実現する。神経回路中の要素である単一神経細胞を個別に選択し組み合わせるという電子回路工作のような方法論で神経回路を構築することを初めて提案している点で独創的であり、神経科学における新たな実験系を構築に資する。本研究の目的は、神経回路を一細胞レベルで設計・構築可能にするデバイスを開発することである。本手法で構築した神経回路に機能的なシナプス結合が構築されることを示し、また他種類の神経細胞にも適用可能であることを示す。
平成 29 年度は(i)回路構築プロセスの安定化、 (ii)構築した神経回路の機能解析を行った。 ラット初代培養海馬神経細胞のために設計したプレートについて、神経細胞の軸索・樹状突起・細胞体がプレートの形状によって制御できる収率を定量化した。この結果はデバイスを改良のための基礎となる。 また、神経細胞を組み合わせて回路の構造を構築するとき、回路構造が細胞の牽引力や培養液のせん断力により容易に崩壊しうることも判明しているため、回路を安定化させるために、プレートを埋め込む回路基板を開発した。このとき、回路基板にパターン可能な細胞非接着材料の検討、およびプレートの固定化が可能な基板形状の至適条件の検討を行った。回路構築安定化デバイスの開発後、免疫染色によるシナプス形成の評価および Ca 2+ イメージングによる神経回路の活動解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的としていた、(i)回路構築プロセスの安定化、 (ii)構築した神経回路の機能解析を行うことができたため、計画は進展している。 具体的には、ラット初代培養海馬神経細胞のために設計したプレートについて、神経細胞の軸索・樹状突起・細胞体がプレートの形状によって制御できる収率を定量化した。また、回路を安定化させるために、回路基板にパターン可能な細胞非接着材料の検討、およびプレートの固定化が可能な基板形状の至適条件の検討を行い、プレートを埋め込む回路基板を開発した。回路構築安定化デバイスの開発後、免疫染色によるシナプス形成の評価および Ca 2+ イメージングによる神経回路の活動解析を行った。
本研究ではさらにプレートそのものの三次元形状の改良を行い、神経細胞がプレートからはみ出さないようにする壁を設ける検討を行った。従って、当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で問題となっている、神経細胞が載ったプレートの安定化をさらに高めるk風が必要であると考えている。マイクロマニピュレーションによって神経回路を構築した後の、細胞のけん引力および培養液に引きずられる力に抗する、生体適合性の高い回路基板を開発する。また、神経細胞同士を組み合わせて神経回路を構築した後の回路の動態を、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子工学技術によって可視化する。 当初の計画通り、将来的な実用上で有用なiPS細胞由来神経細胞に適する神経プレートの開発を行い、神経回路の構築手法の確立を目指す。 最終的に、本研究で得た知見を論文としてまとめ、世界に発信する。
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