研究課題/領域番号 |
17K14633
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
王 忠奎 立命館大学, 理工学部, 助教 (50609873)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソフトロボティクス / ソフトアクチュエータ / ソフトグリッパー |
研究実績の概要 |
2017年度は、主にソフトアクチュエータのダイナミクス、有限要素モデル、材料の影響、プレストレスアクチュエータに関する研究を行なった。具体的な実績は下記の通りである。
1.リンク、ばね、ダンパーの基本要素を用いて、ソフトアクチュエータの動的モデルを提案した。最適化方法を用いて、モデルに関わる力学パラメータを推定した。このモデルを用いて、ソフトアクチュエータの変形挙動を再現できた。把持対処物との接触力の推定もできた。2.プレストレスのアイデアを採用して、初期状態が巻き上がっているソフトアクチュエータを提案した。負圧でアクチュエータを巻き上がると比較することによって、プレストレスしたアクチュエータは対象物を優しく掴めることが分かった。食品材料を用いて実験テストを行なった。3.異なる製作方法と異なる材料を用いて、ソフトアクチュエータを製作した。製作方法と材料の影響を実験的に検討した。3Dプリンタで造形したアクチュエータより、キャスティングで作製したアクチュエータはばらつきが大きい一方で、耐久性は優れたことが分かった。また、材料は柔らかければ柔らかいほど、把持力と持上げる重量が大きいということが考えられる。4.ソフトアクチュエータの有限要素モデルを構築した。幾何非線形を導入し、シミュレーションを行なった。実験計測したデータと比較することによって、モデルの有効性を検討した。ソフトアクチュエータの設計と挙動予測の際、構築した有限要素モデルを活用した。
これらの研究結果を基づいて、論文誌論文5本、国際会議論文5編、特許1件、国際学会での発表8件、展示会での出展2回の研究成果ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画の通りに進めてきた一方で、変更点と新しく加えた点があった。 1.変更点:1)アクチュエータ材料の摩擦係数を自分で計測することの変わりに、公表されたデータを採用し、研究を進めてきた。自分で計測する実験は平成30年度に行う予定である。2)有限要素ソフトABAQUSとMATLABを連携して、ソフトアクチュエータの最適化することの変わりに、ABAQUSと最適化ソフトIsightを連携することに変更した。これによって、アクチュエータの最適化はよりスムーズに実現することができる。 2.加えた点:1)アクチュエータのパフォーマンスに対して、異なるゴム材料と3Dプリンタ材料の影響を実験的に比較した。2)高速シミュレーションと制御のため、リンク、ばね、とダンパーを用いて、簡略したアクチュエータの動的モデルを開発した。モデルの力学パラメータを推定した。3)崩れやすい対象物をより優しく掴めるため、プレストレスをしたソフトアクチュエータを提案した。パフォーマンスを実験的にテストを行なった。
また、学科で新しく導入した最先端の3Dプリンタを利用することによって、より早く、数多くのアクチュエータデザインを試すことができ、研究の進捗に役に立った。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の計画は下記の通りである。 1.ソフトアクチュエータ材料の摩擦係数を計測する。一般ゴム材料と3Dプリンタ材料の摩擦係数をスロープ実験で求める。結果を比較することによって、摩擦係数の影響を理論的にまとめる。 2.ABAQUSとIsightを連携し、アクチュエータの材料特性を推定する。アクチュエータ材料の影響を定量的に評価する。この結果を基づいて、異なる応用に対して、相応しい材料の選択方法を提案する。 3.ABAQUSとIsightを用いて、ソフトアクチュエータのモルフォロジー最適化を行なう。設計パラメータとアクチュエータパフォーマンスの関係を作り出すことによって、ソフトアクチュエータの設計原則と基準をまとめる。 4.これらの研究結果を活用し、食品材料のハンドリング、特に崩れやすいものを対象として、最適なソフトアクチュエータのデザインや新しいアクチュエータの提案を行なう予定である。
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