研究課題/領域番号 |
17K14636
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
秋山 雅裕 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50611430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バラスト / プラズマ / パルスパワー / FPGA |
研究実績の概要 |
水が関与する放電プラズマ現象は、水中放電、沿面放電、泡の中での放電等多くの研究がなされ、水処理への応用もなされている。しかしながら、海水等、高い導電率を持つ水が関与する放電プラズマの研究は、バラスト水処理、温泉水処理等多くの応用があるにもかかわらず、その難しさからほとんど行われていない。本研究目的は、バラスト水処理を目指して、海水が関与する大容量放電プラズマを生成し、期間内に下記を達成することである。 1) 0.09 m2の海水表面での放電プラズマを用いた大腸菌の殺菌が予備実験で確認できたため、本研究では、1 m2の実規模の容器を用いて大腸菌殺菌を行い、必要な電力量等を調べる。2) 海水表面で生成された大容量放電プラズマを時間分解可能な分光器で調べて放電プラズマパラメータの計測、OH等の化学的活性種の計測、大腸菌の殺菌機構の解明を行う。3)FPGAを制御に用いて、100 m3/hのバラスト水処理の可能な実規模パルスパワー電源の開発を行う。 最近では、パルスパワー生成水中放電プラズマの球状進展、バブルの生成、バブルの崩壊時の衝撃波生成等、放電プラズマの一生を本申請者が報告した。さらに、本申請者を含む国際共著論文である研究業績1では、1mと長いパルスパワー生成沿面放電を生成し、進展先端では空気中放電であり、その後は水が蒸気となりその中の放電であることを見出すとともに、沿面放電進展過程、電子温度、プラズマ密度、回転温度、振動温度の時間変化を、明らかにした。 平成29年度は、イースト菌を用いて導電率の変化による水中放電の殺菌特性を検討した。実験結果として250 ppsで100000発の放電を行い、イースト菌の減少を確認することができた。また、導電率の高い海水であれば、数kVでの放電現象が確認できた。試作段階のFPGA制御装置とパルスパワー発生装置の開発を行い、水中放電の生成と電圧・電流波形の計測に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水中放電を用いたバラスト水中の菌の処理を目的とし、その殺菌機構についての検討を行った。予備実験としてイースト菌を用いて導電率の変化による水中放電の殺菌特性を検討した。実験結果として250 ppsで100000発の放電を行い、イースト菌の減少を確認することができた。また、導電率の高い海水であれば、数kVでの水中放電現象が確認できた。 FPGAを用いた制御装置、及びIGBTを用いたコンデンサ放電方式パルスパワー発生回路の試作品を開発し、動作に問題ないことを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1メートル×1メートルの実規模の容器を用いて大腸菌殺菌を行い、必要な電力量等を調べ、生成された大容量放電プラズマを時間分解可能な分光器で調べて放電プラズマパラメータの計測、OH等の化学的活性種の計測、大腸菌の殺菌機構の解明を行う。また、FPGAを制御に用いて、100 m^3/hのバラスト水処理の可能な実規模パルスパワー電源の開発を行う。
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