送電線への雷撃などの擾乱発生時に,電力系統内の同期発電機群が同期外れを起こすことなく同期状態に回復しうる能力の程度を過渡安定性と呼ぶ。本研究では過渡安定性の向上を目的として,同期発電機の新たな励磁制御システムの構想および核となる理論を開発した。提案システムでは,系統内の発電機群の回転子角速度を広域で収集し,この広域情報を新たなに提案した制御理論で用いることによって,系統事故後の励磁電圧を変化させる。数値シミュレーションの結果,発電機の自端情報のみを用いた従来の励磁制御システムでは安定化効果が得られない事故に対しても,効果的に発電機の動揺を抑制できることを明らかにした。
|