研究課題/領域番号 |
17K14640
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
辻 隆男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00432873)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 電力系統 / 周波数制御 / 電気自動車 / 離島マイクログリッド / 外乱オブザーバ |
研究実績の概要 |
太陽光発電や風力発電などの、再生可能エネルギーを利用した電源が大量に導入された電力系統では、その不確実な出力変動に起因した系統周波数変動の抑制が重要な課題となる。特に離島のように自立した小規模系統(離島マイクログリッド)では、系統規模が小さいため、周波数が変動しやすい課題がある。離島マイクログリッドの周波数を安定化するための方式として、電気自動車に搭載された蓄電池の充放電制御を活用することが挙げられる。蓄電池の制御は非常に高速であるため、離島マイクログリッド内の需給バランスを適切に維持して周波数の安定化に寄与することが期待されているが、その制御性能を一層向上させるために、本研究では外乱オブザーバを蓄電池の制御系に組み込むことを提案する。ここで、制御対象となる蓄電池は、電気自動車の充電箇所に依存して系統内で複数地点に分散していることが想定される。このような環境下で外乱オブザーバを適用するために、本研究では各蓄電池が他の蓄電池の挙動を推定しながら、蓄電池群全体で高速な変動補償を実現することを目指した。特に平成29年度の研究では、数値解析に基づいて、この分散制御型外乱オブザーバの基本論理の構築を行った。特に、同方式は他電源の挙動を推定するための制御モデルの精度が重要となるため、ロバスト性の解析を実施した。数値解析はMATLAB/Simulinkを用いて行い、実測による太陽光発電や風力発電の出力変動データに対して制御性能の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究は、概ね数値解析に基づいて実施した。提案する分散制御型外乱オブザーバの構想は、本研究課題の開始前に概ね実現可能であると目途を立てており、数値解析を通じて様々な新たな課題に直面したものの、概ね当初の構想通り機能する制御系が実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、初年度に構築した制御手法を実験を交えて検証する予定であるが、実験機に基づく検討では機器の挙動をよりリアルに再現できる一方で、システムの規模はどうしても限定的にならざるを得ない側面もある。様々な条件の離島マイクログリッドを対象に検討を進めることがより重要になる可能性があるため、平成30年度は数値解析の比重を増やして、より幅広く数値解析を進める予定である。
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