信州大学では人体の動作を補助するウェアラブルスーツの研究を行っている。その実用化に向けて、アクチュエータ駆動回路最適化による、省電力化、コンパクト化が最大の課題になっている。本研究課題では、アクチュエータ駆動回路とそのパッケージ、基板、更に制御コントローラ回路を含めたサーボアンプシステム全体の最適化、小型化を目指した。 計画最終年にあたる2020年度は高耐圧回路の効率と安定性の向上に関する検討を行った。具体的には、2019年度に実施した、ゲートドライバにソフトスイッチングと動的な最適制御を適用し、EMIノイズを一桁削減と消費電力の低減が両立とできることを実証した。開発した制御手法、ゲートドライバ設計は、ウェアラブルスーツへ応用のみでなく、より大電力、大電流を応用先としたSiCやGaNといったドライバデバイスを駆動する場合にも適用可能な技術である。また、前年度に引き続き、信頼性向上のため、温湿度センサ回路のブラッシュアップ、センサ回路が安定動作するために必要な低ノイズ降圧電源回路の設計も行った。 前年度からの継続課題として、アクチュエータ駆動回路を制御するために制御MCUボード上で動作するソフトウェア(ファームウェア)開発と通信プログラムの改善も行い、誤動作が起きないような信頼性の高いシステムも構築した。 これらの成果でウェアラブルスーツにも十分適用可能な安定した駆動システムが、従来の者より小型軽量でできることを実証し、装着感を感じないウェアラブルスーツの実現に対する目途が立った。
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