本研究では,マイクログリッドにおけるインバータ形分散電源に,現代制御理論により改良した仮想同期発電機(VSG)制御を適用し,性能を向上させるための制御技術の確立を目的としている. インバータ形分散電源においてVSG制御を適用することにより,インバータに従来の同期発電機と同様に慣性を持たせることができ,電力系統の周波数安定化に寄与できるが,有効電力と周波数が振動しやすい課題があった.そこで,状態空間モデルを用いてVSG制御を解析し,極配置法を用いた状態フィードバック制御を適用することにより,振動性の低いVSG制御を提案いている. 平成30年度は,平成29年度で提案した極配置法を用いた状態フィードバック制御によるVSGの振動抑制方法をベースに,より自由度を生かし,動的特性をさらに向上させる設計手法を提案した.また,状態フィードバック制御の導入によるノイズの増幅を抑制するため,ローパスフィルタを導入し,そのローパスフィルタの状態変数を考慮した部分状態フィードバック制御の設計について検討した.新たな設計法を検証するために,1台の系統連系および自立運転,および2台の並列運転について,実機実験を行った.また,複数の従来制御との比較を,理論解析および実機実験を用いて行った.なお,理論解析の際に,すべてのVSG制御に適用できる一般化モデリング手法を提案した.その結果,本研究で提案する制御方式がいずれの従来制御よりも総合的に優れたことを示した. これらの成果は,一部に平成30年5月の国際会議IPEC-Niigata 2018 -ECCE Asia-に発表した.また,一部に平成31年9月の国際会議EPE 2019に発表する予定である.なお,学術論文2編にまとめIEEE Power Electronics Society傘下の学術雑誌に投稿し,現在査読中である.
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