研究課題
2007年、マサチューセッツ工科大学(MIT)の超高周波スイッチング技術の論文発表以降、世界中の企業、大学、研究機関は大きな関心を持ち、さまざまなこのスイッチング技術のもと実用化を見据えた研究開発が盛んになっている。スイッチング電源の周波数を従来の数百kHzから数百MHzという非常に高い周波数帯域まで引き上げることにより、大型部品であるトランスやコイルなどの機能を回路基板に埋め込むことが可能となり、コンデンサなど受動部品も小型化することができる。この結果、革新的な小型のスイッチング電源を実現することが可能となる。2014年のCESで参考出展されていたFINsixの小型ACアダプタは、その超高周波スイッチング技術に恵まれ、従来のアダプタの3分の1程度の革新的な小型化を実現し、大きなインパクトを生んでいる。一方で、ACアダプタの商品出荷は大幅に遅れている。これはMITで開発された超高周波スイッチング技術を用いた回路設計には解析モデルが存在せず、シミュレータまたは回路実装で試行錯誤的な最適化が行われていることに要因があると考えている。本研究では、高調波電流を注入することにより電源回路の周波数が従来の数十kHzから数百MHzまで引き上げる超高周波スイッチング技術を理論的に体系化し、最適化設計により高効率化を安定的に実現することを目的とした。そこで、本フェーズでは、主に具体的なアプリケーションを意識しつつ、確立した理論をベースに設計を進めることに挑戦する。また、実装した回路を評価し、その結果を回路構成、設計方針にフィードバックさせることにより回路を改良する。本研究では得られる解析、設計、実装技術は電源回路の学術基盤を充実させ、広範なアプリケーション開発に大きく貢献する。
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