研究課題/領域番号 |
17K14656
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
服部 吉晃 神戸大学, 工学研究科, 助教 (90736654)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | h-BN / トンネル電流 / バンドアライメント / バリアハイト |
研究実績の概要 |
高い電子移動度を持つグラフェンFETは、同じ層状物質で絶縁性のある六方晶窒化ホウ素(h-BN)の上に設置することにより、性能が向上することが分かっている。これは、絶縁膜とチャネル材の境界における散乱が抑制される効果によるものである。しかし、ゲート絶縁膜として利用する場合、h-BNの誘電率が低いために静電容量を大きくできない問題がある。そこで、本研究では同じ層状物質であり、かつ、高い比誘電率と絶縁性をもつチタンナノシートをh-BNと積層させることで、この問題を解決することを目的にする。 高い静電容量を達成するには、チャネル材料が接触するh-BNをなるべく薄くして、チタンナノシートが占める厚さの割合を大きくする必要がある。しかし、h-BNを薄くしていくと、物理的に排除できないトンネル電流に起因したリーク電流が発生し、FETの消費電力が上がってしまう問題があるので、薄いh-BNにおけるトンネル電流に関する調査を行った。 トンネル電流は絶縁体と接触している材料とバンドアライメントに大きく影響するが、これまで、h-BNにおいては明らかになっていない。そこで、F-Nトンネル電流を測定することにより、バリアハイトを算出し、バンドアライメントを明らかにしようと考えた。しかし、この手法には注入されるキャリアの極性が判明している必要がある。そこで、これらを調査のために、状態密度の小さなグラフェンを電極として利用し、バックゲートでグラフェンのフェルミ準位を制御した際の、F-Nトンネル電流の挙動を調査することで、その極性を判定する手法を開発した。その結果、h-BNのF-Nトンネル電流はホール電流であることが明らかになった。さらに、単結晶の同一なフレークで金属電極素材が異なるデバイスを作成し、各種バリアハイトを算出した。以上の結果から高誘電化した際に流れてしまう、トンネル電流の性質を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度に、薄いh-BNの基本的な電気測定を中心に行ったが、FNトンネル電流が一般的な絶縁体にみられる電子電流ではなく、ホール電流であることを明らかにした。この結果は、当初の計画では全く予想していなかった、h-BNの極めてユニークな性質であり、この結果は期待以上であった。本研究では、高い誘電率をもつ絶縁体と積層させ高誘電化させことを目的としているが、この結果を踏まえると、高誘電材料とのバンドアライメントも重要になることが予想され、高誘電材料側の基礎研究が今後必要であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
高誘電材料の基本的な電気測定を行う。また、h-BNを積層させる装置の改良を行い、絶縁体の単結晶フレーク同士を積層させる手法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画当初は、初年度にh-BNと高誘電材料の積層化を行うアライメント装置の改良費を計上していたが、h-BNの自体の基礎研究を優先的に行ったため、次年度使用額が生じた。次年度は前年度行わなかった装置の改良を行ってデバイスを作成し、評価を行う。
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