研究課題/領域番号 |
17K14669
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田原 祐助 九州大学, 五感応用デバイス研究開発センター, 准教授 (80585927)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 味 / 味覚センサ / フローインジェクション |
研究実績の概要 |
味覚センサは,脂質高分子膜を貼付した電極と参照電極で得られる膜電位を計測することで,味質及び味強度を検出するシステムである.味物質を受容し,膜電位変化を引き起こすための認識部位として用いる脂質高分子膜の組成種や量を変更することで,味物質との静電相互作用や静電相互作用の強さを変えることができる.本研究は,溶液に電極を浸漬して膜電位を計測していた従来のシステムを変更し,フローインジェクション式の膜電位計測システムを実現することで,味物質と脂質高分子膜の相互作用を継時的に検出する新規味覚センサの開発を目的としている.本年度は,昨年度試作したフローインジェクション式センサの流路の最適化を行った.昨年度はPDMS流路を用いていたが,スライドガラス上にパターニングした電極と脂質高分子膜の間に挿入する電解質ゲルとの密着性を考慮して,孔を設けたPDMSと切削により作成したアクリル流路を積層し,新たな流路系を試作した.膜電位計測の計測システムを構築し,膜電位の経時変化を計測することが可能となった.昨年度購入したHPLCを用いて試作流路から排出する味溶液の定性分析をおこなった.脂質高分子膜に用いた脂質と味物質との相互作用をコンピューターシミュレーションにより相互作用エネルギーを計算した.次年度は,本年度で試作したセンサの応答と官能検査および相互作用エネルギーから,フローインジェクション式膜電位計測システムの構築を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,フローインジェクション式センサの試作をおこない,流路設計やセンサ応答の統計処理に関して検討を進めた.また,シミュレーションを行い,脂質高分子膜と味物質の相互作用に関する検討も順調に進めている.次年度は,論文発表を意識して開発を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,試作器の最適化やセンサ応答の統計処理方法の検討を行う.特に,微量サンプルの測定として数10micro L程度で味を測定することを目標とし,センサ応答の時間変化に着目した測定系を構築する.また,味物質標準液を用いた測定系を完了後,人工甘味料を含むコーヒー等の実サンプル測定も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
使用を予定していた測定用の試薬の納期が間に合わなかった.そのため,次年度に購入して予定していた実験を行う.
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