本研究は、マイクロ波・ミリ波帯におけるアダプティブデバイスの開発を目指し、液晶装荷移相器の液晶層を強誘電体薄膜に置き換えた強誘電体薄膜移相器の開発を行うものである。今年度に行った研究は以下の通りである。 強誘電体薄膜材料として ペロブスカイト(ABO3)構造を有するチタン酸バリウムのBサイトにジルコニウムを置換したチタン酸ジルコン酸バリウム(BZT)を選択した。薄膜の組成比や、成膜条件を確立するため、成膜方法として化学溶液堆積法を選択した。昨年度に引き続き、最適化した成膜条件において強誘電体薄膜を作製した。 マイクロ波・ミリ波領域での材料定数の評価は昨年度に引き続き、誘電体レンズを利用した自由空間タイムドメイン法によるSパラメータの測定方法について検討を行った。 昨年度作成した誘電率推定プログラムを修正し、通常の校正後に、標準サンプルを測定し校正値の確認を行うことで、より精確に安定した測定解析を行えるようになった。改訂版誘電率推定プログラムを用い、誘電体材料のSパラメータからの誘電率推定を試みた。 材料定数の評価に関しては、マイクロ波・ミリ波帯よりさらに高い周波数である光の周波数においても、分光エリプソメトリにより誘電率推定を試みた。 また、これらの研究結果を国際会議等で発表した。
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