研究実績の概要 |
令和元年度は, 前年度に国際会議で発表した研究内容である「隠れ端末が存在する全二重無線LANにおける理論解析手法」を用いて, 全二重通信ネットワークにおける代表的なMACプロトコルである同期型および非同期FD MACの2方式を適用した際のシステムの振舞いに関して, 論文にまとめた. また, これまでの全二重通信ネットワークに関する研究で得られた知見を用いて, 新たに無線全二重通信の性能を引き出すためのバックオフ手法を提案し, 提案手法の理論解析に基づく性能評価を行なった. 提案手法は特に隠れ端末による衝突の影響の大きい全二重無線LANにおいて, その有効性を示すことを明らかにした. また, 提案手法の理論解析を応用することで, 最適な制御パラメータの導出に成功した. ネットワーク層のモデル化に関して, 前年度は非同期型FD MACを用いた全二重通信マルチホップネットワークにおける理論解析手法に関する論文をまとめたが, 今年度はさらに同期型FD MACを用いた全二重通信マルチホップネットワークにおける理論解析手法の構築を行い, その研究内容を国際会議にて発表し, 現在論文誌への投稿準備中である. また, 高速パケット伝送であるフレームアグリゲーション技術を無線全二重通信ネットワークへ適用した際のネットワーク特性の影響の数理的解析を行い, 国際会議にて発表を行なった. 令和元年度の補助金は, 主に海外発表のための旅費と論文掲載料, 計算用ソフトウェアおよび計算機, ネットワーク実験のための実験機および消耗品に当てられた.
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