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2018 年度 実施状況報告書

指向性テンソル辞書に基づく高解像度映像スパース表現手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 17K14683
研究機関北九州市立大学

研究代表者

京地 清介  北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70634616)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード指向性テンソル辞書 / コサインサイン変調フィルタバンク / 最適化 / 構造テンソル全変動量
研究実績の概要

本課題では高解像度映像をスパースに表現するための多次元テンソル辞書を効率よく設計する手法を確立することを目的としている.多次元テンソル辞書を設計する際,その辞書の次元の高さから,最適化の対象となる辞書のパラメータ数は膨大になるため最適化は困難となる.従って,パラメータ数を効率よく削減するためのアルゴリズムが必要とされている.

平成29年度は高解像度映像の時空間方向の指向性の表現に優れた固定型指向性テンソル辞書である"コサインサイン変調フィルタバンク"を構成したが,平成30年度の研究では コサインサイン変調フィルタバンクに線形結合を施して更新した新しい辞書によって,更に効率のよい高解像度映像スパース表現を達成することを目的とし検討を行った.

具体的なアプローチとして,映像の局所領域における勾配ベクトルセットの従属性を考慮した最適化手法を導入した.高解像度映像の局所領域では,時空間方向の勾配ベクトル(隣接画素の差分情報)が似通った方向を示す傾向がある.従来手法として提案された「構造テンソル全変動量正則化」では,勾配ベクトルの類似性を低ランク性によって特徴づけた凸最適化を構成し,詳細なテクスチャを豊富に含む映像に対しても柔軟な表現を可能にしている.本研究では「隣接画素の差分情報のみならず,更に離れた場所に位置する画素との差分情報も類似する」と考え,複数の解像度の勾配ベクトルに基づく「多重解像度構造テンソル全変動量正則化」を導入し,頑健性の高い最適化手法を構成した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は前年度に設計したコサインサイン変調フィルタバンクの線形結合によって高解像度をスパースに表現するためのフレームワークを検討した.当初のように,スパース性・低ランク性に基づく「多重解像度構造テンソル全変動量正則化」を構成できたため,概ね順調に進展していると考える.

今後の研究の推進方策

テスト高解像度映像のデータ数は膨大になるため,来年度は確率的最適化によるオンライン辞書学習(テストデータからランダムに部分データセットを取り出し最適化を繰り返す)を導入し,辞書のより効率的な学習を達成する.本研究ではオンライン辞書学習として既に提案されている確率的ADMM辞書学習の手法を基に検討する.ただし,ADMMでは最適化中に逆行列演算が必要となり,多大な計算コストが発生する可能性がある. ADMMとは別の最適化手法であるPrimal-dual splitting(PDS)は逆行列演算を必要としない特徴を持つため,ADMMでの検討が困難な場合にはPDSによる手法の構成を検討する.

次年度使用額が生じた理由

当初は様々なセンサを購入してテストデータを収集する予定だった。しかしながら研究課題検討の中で、現段階では未だアルゴリズムの構築と簡易なサンプルデータ等を用いた有効性の確認を行えば十分と判断し、購入を見送ることにした。全体のアルゴリズムが整備される来年度(最終年度)にて、予定していた機材の購入、網羅的なデータ収集、提案アルゴリズムの検証を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Image Boundary Extension With Mean Value for Cosine?Sine Modulated Lapped/Block Transforms2019

    • 著者名/発表者名
      Ishibashi Ryoma、Suzuki Taizo、Kyochi Seisuke、Kudo Hiroyuki
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology

      巻: 29 ページ: 1~11

    • DOI

      10.1109/TCSVT.2017.2771461

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Joint Sparsity and Order Optimization Based on ADMM With Non-Uniform Group Hard Thresholding2018

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka Ryo、Kyochi Seisuke、Ono Shunsuke、Okuda Masahiro
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Circuits and Systems I: Regular Papers

      巻: 65 ページ: 1602~1613

    • DOI

      10.1109/TCSI.2017.2763969

  • [学会発表] Multiscale Structure Tensor Total Variation for Image Recovery2019

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Makoto、Matsuoka Ryo、Kyochi Seisuke、Ono Shunsuke、Okuda Masahiro
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP)
    • 国際学会
  • [学会発表] 固有基底変換を用いた高速かつロバストな水中画像補正2018

    • 著者名/発表者名
      千々和 憂希, 京地 清介, 馬場 達也, 奥田 正浩
    • 学会等名
      電子情報通信学会信号処理研究会第33回信号処理シンポジウム
  • [備考] Kyochi Laboratory -Publications-

    • URL

      https://sites.google.com/site/s2kkyochi/publications-1?authuser=0

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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