研究課題/領域番号 |
17K14685
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石村 憲意 立命館大学, 理工学部, 助教 (50779072)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水晶発振回路 / MEMS発振回路 / アーノルドの舌 / 同期 |
研究実績の概要 |
多数のセンサ間で通信を行う際,外部の水晶振動子から供給されるクロック信号が異なることから生じるタイミングがずれるため,非同期で通信を行っている.また,様々な機能を持った集積回路をひとつのパッケージに集約した多層チップにクロックを配給する場合においても,経路長差によりクロック信号の位相がずれるクロックスキューの問題が生じる.これにより,チップ間の信号のやりとりにおいても,ひとつのクロック信号に同期した情報処理が困難となる.そこで,本研究で目的としているものは,独立したMEMS振動子および水晶振動子の同期現象を解析し,これらの問題解決へ向けた設計技術基盤を確立することである.安価に手にはいる水晶振動子を用いてPierce回路をディスクリート回路で実装し,相互結合させて同期が生じるのに必要な結合強度との関係を調査した.次に,水晶発振回路に対して外部から周期信号を印加し,水晶振動子が同期して発振する領域(アーノルドの舌)の探索を行った.外部信号による水晶振動子の同期については,SPICEなどの回路シミュレータを用いて解析を行ない,ここで得られた同期領域の確認を行った.これにより,水晶振動子またはMEMS振動子では固有振動数を中心に著しく非対称な同期領域が得られることを確認した.同期領域の解析を行うことで課題点を抽出し,回路の改良への道筋を立て,ゆらぎを利用するMEMSの動作現象の基礎を構築する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水晶振動子が同期して発振する領域(アーノルドの舌)の探索を行った.これはSPICEを用いてシミュレーションも行っており,水晶振動子の等価回路がMEMS振動子の等価回路と同じ構成であるため,これらの成果を転用することができるため.
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今後の研究の推進方策 |
同期領域の解析を行うことで,課題点を抽出し,回路の改良への道筋を立て,ゆらぎを利用するMEMSの動作現象の基礎を構築する.また,MEMS振動子を作成フェーズに移行する.
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