研究課題/領域番号 |
17K14691
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 信英 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00734542)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光エレクトロニクス / イメージング |
研究実績の概要 |
フェムト秒~ピコ秒オーダの超高速単発過渡現象のイメージング測定のため、一定の遅延間隔を有する多波長パルス光を活用したSequentially timed all-optical mapping photography (STAMP)法が考案されている。本研究では、STAMP法で用いる光源を光通信用ファイバ型素子を駆使することで小型かつ簡便に実現することを目的としており、本年度は提案光源系の構築とその基本動作検証を進めた。多波長のCW光をニオブ酸リチウム型マッハツェンダ変調器に入力し、100MHzのクロック信号をトリガとした約100psのゲートパルス電圧を変調器に印加することで、各CW光を一括して約100psの光パルスに整形し、長さ6kmの光ファイバ中を伝搬させることで、各CW光の波長間隔に対応する光パルスの遅延時間制御が実現できることを光サンプリングオシロスコープを用いた波形測定結果から確認した。この遅延時間は光ファイバの分散と波長間隔の関係を考慮した値に一致し、過渡イメージング用光源としての基本動作を検証することができた。また、より高速な現象を捉えるための短パルス化に向けた指針として、マッハツェンダ変調器に加えるチャープ量(位相変調振幅)を増大させるか、位相変調器をマッハツェンダ変調器に直列に接続し、マッハツェンダ変調器と同期したチャープを与えることで短パルス化が可能であることを明らかにした。本研究成果を第65回応用物理学会春季学術講演会にて発表した。今後は、本光源を用いた過渡イメージング測定のデモンストレーションと光源系の集積化に向けた課題の明確化を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では光通信用ファイバ型素子を用いた過渡イメージング用光源の構成を新規提案しており、その動作検証が本年度における重要な課題であったが、実験と計算の両側面からその動作を検証することができた。このことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
半導体素子のレーザ加工等を例とした過渡イメージング測定のテストを進める。過渡現象を誘起するポンプ光には、構築光源のパルス光の一部を光ファイバ増幅器を用いて増幅したものを利用し、イメージング用素子にはInGaAs近赤外カメラを用いる。本実験と並行して、光源系の半導体基板上への集積化に向けた検討を進める。具体的には、長い光ファイバを用いて実現している分散を半導体光導波路中で与えるための方法などを数値解析をベースに検討し、要素技術を明確化する。
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